比較的入手困難になり始めてから紹介するのも若干気が引けるのですが、デザイン的に気に入っているデックの紹介です。
今回はダン&デイブから出ている、エース・フルトンズ・カジノ”Ace Fulton’s Casino”。
The D&D Playing Cards社からは、このエース・フルトンズ・カジノ以外にも、フルトンズ・クリップ・ジョイントなど、Fultonの名を冠したデックが幾つか売り出されています。
このFultonというのは、ダン&デイブの作品の撮影を行っているカメラマン、Brad Fultonのデザインによるところから採られているようです。
このデックは、Ace Fulton’s Casinoというカジノのおみやげデックとして企画されているようです。
カジノのおみやげとしての設定や、デック自体のデザイン等、全体的にあの有名なジェリーズ・ナゲットを彷彿とさせます。
ただ、このAce Fulton’s Casino、デック内には住所や電話番号を書いた宣伝カードまで封入されているのですが、ネットで検索しても実在のカジノとしての情報が見つかりません。
D&Dサイトのこのページを読む限りでは、Brad Fultonの大叔父に当たるJimmy “Ace” Fultonが、ラスベガスで小さなカジノを経営していたことが書かれています。
そのカジノが無くなったとの記述ははっきり読み取れませんでしたが、今は失われた古き良きラスベガスの伝統を懐かしむような調子が文章全体に漂っていますので、まあそういうことなのでしょうか。
Brad Fulton氏が大叔父から伝え聞いた思い出に残る、古き良きラスベガスのカジノ。
その雰囲気とストーリーをベースにして、ジェリーズ・ナゲットなどのイメージも踏襲しつつ、新たなデザインに落とし込んだデック。
それが、このエース・フルトンズ・カジノ・デックということでしょうか。
なお、このデックは元々オレンジ色と茶色の2色でリリースされ、その後赤と青が出ました。
今回のご紹介は、その赤と青のみです。
エース・フルトンズ・カジノ:カードケース
まずはカードケースの外観から。
単色ベタ塗りの背景に、センターより右側に寄った位置に、エース・フルトンズ・カジノの看板の図案が配されています。上で貼ったリンク先のページにある写真の看板ですね。
この看板の形は、ジェリーズ・ナゲットの看板に似ていますが、スペードの形をモチーフにしたもののようです。
この看板の図案の陰影に沿って、細かくエンボス加工が施されています。
側面には、「Ace Fulton’s Casino 3555 Las Vegas Blvd South Las Vegas, NV 89109」の文字が。
この住所にはカジノが実在するのでしょうか・・・
底面にある「IVORY 37」の文字は、カードの仕上げ名でしょうね。
ケースの内側は青い印刷が施されています(紙は白です)。青デックのほうは逆に内側が赤になっています。
細かいところですが、このほうがただの紙の裏面無地のままよりも、デザインが行き届いている感じがします。
フラップの部分には、小さなスペードのマークが。写真では分かりにくいですが、このスペードもエンボス加工が施されています。
エース・フルトンズ・カジノ:デック
中身のデックのほうを見てみましょう。
青デックと赤デックを広げたところ。
普通にすべりは良いですが、私の持っている赤デックはちょっと逆反りのくせがついてしまっています。
赤・青それぞれ1枚ずつのバック面。
ケースとは違い、看板の意匠ではなく、”Ace Fulton’s Casino”のアルファベットが自由闊達に配されたロゴマークです。Aの文字の先端が枠の外にはみ出しているあたりが、現代的センスを感じます。
また、ホワイトボーダーというか、背景のベタ塗り部分の輪郭線が、若干内側に向かって弓なりにカーブしており、コーナー部分の鋭角を強調しています。
図形的に真っ直ぐな直角だと、カード自体の丸コーナーの輪郭との対比から、錯覚により若干丸っこく見えることもありますので、このデザインはシャープな印象を与えるのに役立っていると思います。
最初にリリースされたこのデックのオレンジとブラウンは、情報を見ているとコーナーが欠けた形になっていたようです。他にも色々と細かな相違があるようです。
ベタ塗りの色合いはPC画面では正確に反映されないと思いますが、赤のほうは朱色に近く、明度の高い(若干のホワイトが入った)色調です。
青のほうも若干ホワイトが入っている感じです。
フェイス面でスプレッドしたところ。
インデックスが、普通のバイスクル等に比べると随分と小さいです。
こうやってテーブルにスプレッドしたときは若干貧相に見えますが、ファンにしたときにはインデックス全体が見えやすくなりますね。
字札のフェイス面。
Ace Fulton’s CasinoのテーマがスペードのAということで、字札にも1箇所だけ、スペードを背景にしてそれぞれのマークのシルエットで切り抜いたような意匠が配されています。
このように、字札のマークのうち1箇所だけを変則的なデザインにするのは、フルトンズ・クリップ・ジョイントなどにも共通するデザイン手法ですね。
全てハートのマークだけ、なぜか天地逆さまになっています。
各絵札。
青や黄色は無く、赤と黒と白の3色だけで構成されています。(地色がアイボリーで、絵札には冠の部分など、一部純白箇所があります。)
Jは普通ですが、スペードのKは字札と同じように1箇所だけ変わったデザインとなっています。(他のKは普通です。)
そして、ハートの絵札は字札と同じように、ハートのマークが天地逆さまになっています。
4枚のエース。
スペードのエースは独特のデザインですが、シンプルで普通です。カードケースのフラップに印刷されたものと同じデザイン。
他3枚のエースは、字札のデザイン手法を踏襲して、1個だけのマークがこのような形になっています。
このデザイン手法はカッコ良いとは思いますが、エースだけはこの形じゃないほうが良かったのではないかとも思います。
一応白抜きシルエットがこのカードのマークを表しているわけですが、正直言ってマーク1個だけだと分かりにくいです。ダイヤが一瞬ハートに見えます。
マジックの手順の中で、一瞬グリンプスしてマークを判別しなければならない場合、これだと間違える恐れがありますね。
逆にElmsley Countみたいに、ハートとダイヤの印象を曖昧にしたい場合などには有利かも知れませんが。
ジョーカーと、その他広告カードなど。
看板の意匠が真ん中に配されたジョーカーは(Jokerと書いてありませんが)、2枚とも同一です。
競馬の絵が描いてあるカードもバック面がありますので、ジョーカーとして使用可能です。
上で少し述べましたが、このカードの地色は純白ではなく、アイボリーです。
上の写真では、バイスクルライダーバックと比較してみましたが、違いが分かるでしょうか。
古い紙が日光の影響で焼けたような色合いの白地です。
カードの仕上げは、Air Cushion Finishというのでしょうか。バイスクルのようなエンボスは無く、ほぼフラットなつや消しの仕上げです。フェイス面も同様です。
だからでしょうか、バイスクルよりはペタペタとカード同士が吸い付くような感触があります。
このあたり、どちらかというとマジックよりはフラリッシュに向いている特長でしょうね。
先日のトランプタイムで使っていたデックですよね?
古い質感は私も好みですが、インデックスが困り者(笑)ですね。
私の席からの距離でさえも何のマークか分りづらかったですし
マジックよりはフラリッシュ向けという意見には同意です。
はい、そうです。
裏面のデザインはシンプルレトロモダンといった感じでかなり気に入っていますが、フェイスに関してはエースのデザインといい、インデックスの小ささといい、若干イマイチな面はありますね。