上の写真はマクドナルドのエース、つまりマクドナルドのセット(てりやきマックバーガーとポテトセット)に4枚のエースを付け加えたものです。
ですが、今回ご紹介の「マクドナルドのエース」は、ハンバーガーとは何の関係もありません。(掌パーム誌にこれをネタとしたマジックが載っていましたが・・・)
マクドナルドのエースとは、マクドナルドという名前の片腕のマジシャンが得意としていたと言われるマジックで、ギミックカードを使った4Aアセンブリとしてはおそらく最も有名な作品であろうと思われます。
原題では、”McDonald’s $100 Routine”(マクドナルドの100ドルルーティン)という名前が付いています。
どうしても習いたいという人に対して、マクドナルドが対価として取っていた金額が100ドルであったからだと言われています。
6、70年も前の100ドルですから、相当なものですね。
名著「Dai Vernon’s More Inner Card Secrets of Card Magic」に解説されたところから有名になり、その後数多くのマジシャンによる改案が発表されています。
マクドナルドのエースとは
マクドナルドのエースは、現象としては4エース・アセンブリの一種として分類されます。
4箇所のパケットに分かれて置かれた4枚のエースが、1箇所のパケットに集合するというものです。
通常レギュラーカードで4エース・アセンブリを演じる場合、どこかの時点でエースをすり替えるということが多いです。
しかしこのマクドナルドのエースでは、ギミックカードを適用することによって、エースが消失するパケットに直前までエースがあることをしっかりと視覚的に確認させられるようになっています。
また、消失のプロセスが公明正大で怪しいところが無いように見えるというのも、レギュラーのエースアセンブリに対する大きなアドバンテージです。
マクドナルドのエースという作品の特徴としては、DFカードというギミックカードを用いる、という点ぐらいしか無いため、ひとくちにマクドナルドのエースと言っても、その消失方法などには数多くのバリエーションが見られます。
自分のオリジナルのハンドリングや見せ方を考えるのも、マクドナルドのエースの楽しみのひとつですね。
また現象そのものとしても、単純なアセンブリ現象以外にスローモーションアセンブリ、バックファイアなど、多くの見せ方があります。
そういう意味では、マクドナルドのエースとはひとつの奇術作品というよりは、ジャンル名称と考えたほうが適切かも知れませんね。
4エース・アセンブリの分類については、こちらの記事も参考にしていただければ幸いです。
マクドナルドのエースの演技
さて、今回新しくマクドナルドのエースの演技を撮影してみましたので、よろしければご覧ください。
今回の演技では、トライアンフとマクドナルドのエースを続けて演じてみました。通常、バーノンのクラシカルなトライアンフの方法では4枚のエースを現すことは難しいのですが、この流れにおいてはそれが簡単に達成でき、なおかつその後に続くマクドナルドのエースへの潜在的なあらための効果もあると思います。
トライアンフとマクドナルドのエースを組み合わせるルーティンのアイデアは、ジョニー・トンプソン(グレート・トムソニー)氏のものです。わたしがそれを読んだのは、季刊「不思議」の4号です。
トンプソンの手順では、スペクテイター・カット・ジ・エーセスも組み込んだ長い手順となっています。
なお、名古屋のカーディシャン桂川新平氏も同様なルーティンを演じられているそうですが、氏の手順がトンプソンのアイデアによるものなのかどうかは知りません。
この演技では、ヘルダー・ギマリャエスの動画での演技のタッチも参考にさせていただいています。
3枚目の消失の部分で演じているテント・バニッシュの部分は、今回ふと思いついて実演してみたものです。
バーノンのスローモーション・4エーセスの方法を参考に考えたものですが、マクドナルドのエースにこれを使った前例があるかどうかは未確認です。
2013年6月3日追記
新しくマクドナルドエーセスの動画を作成してみました。
こちらは上の動画とは違って、トライアンフ等は無くエース・アセンブリ部分のみです。
また、マクドナルドの手順自体も少し異なっていますので、よろしければ比較してみてください。
マクドナルドのエースのバリエーション
そもそも4AアセンブリにDFカードを用いるというアイデア自体は、カード奇術の祖とも言えるJ.N.ホフジンサーにまでさかのぼると言われています。
マクドナルドのエースが文献に最初に現れたのは「Dai Vernon’s More Inner Card Secrets of Card Magic」であると述べましたが、さらに一般的なカードマジックのクラシックとしての知名度を得たのは、フランク・ガルシアによって「New Stars of Magic Vol.1」に発表されてからでしょう。
その後のバリエーションとしては、スローモーション・4エーセスに適用したデレック・ディングルの”Slow Motion McDonald”や、ギャリー・ウォレットのマーケティング・アイテム”Dream of Aces”などが有名どころでしょうか。
マクドナルドのエースの資料
松田道弘氏の著書のいくつかに、氏によるバリエーションが解説されています。
「松田道弘のシックなカードマジック」に”マクドナルドのリピーター”、「松田道弘のカードマジック」に”ダブルフェイスエースの錬金術”、「トリックカード事典」に”マクドナルドのフォアエーセス”、「ザ・ウェイ・オブ・シンキング」に”リピータブル・マクドナルドのたくらみ”が発表されています。
「トリックカード事典」のものが一番オーソドックスな手順かなと思います。
L&L Publishingから、マクドナルドのエースのみを集めたDVDも出ています。
マイケル・アマー、ジョニー・トンプソン、ジョン・メンドーザ、アレキサンダー・ドコバ、ジョン・グァスタフェッロ、マーチン・ナッシュといった名手たちの作品が学べます。
マーチン・ナッシュのものはDFカードを使わないので、厳密にはマクドナルドと言えないかも知れません。
Gary Ouellet が単品で販売していた「A Dream Of Aces」が好きですね。
手順はもちろんですが、テーブル上のレイアウトが良いです。
マジックはそんなに上手い人ではありませんが、テレビプロデューサーの
仕事をやっていたせいか視覚的効果の長けている人だと思います。
>峯崎さん
「A Dream Of Aces」はよく考えられた手順ですね。
確かに今の感覚で見ると、実演はそう上手いようにも思えないこともありますが、クラシカルなコインマジックなどの氏の実演は、個人的には結構好きでした。
上手い人ではないという表現は良くなかったですね・・
つまりクリエイターは必ずしも良いパフォーマーではないと感じる訳です。(^^;
「A Dream Of Aces」といえばご存知だと思いますが、カッパーフィールドが
テレビで演じた「The Grand Pa Aces」の原案がこれですよね?
すみません、このサイトは投稿の編集が出来ないみたいですね・・
もし動画が邪魔なら削除してください。(__)
いえいえ、動画が邪魔なんてことはないです^^
でもちょっとコメント欄にしては大きくてはみ出ていますね・・・w
「The Grand Pa Aces」、いわゆるマクドナルドAとは方法論が異なっているように見えますが、これの発展系であるという記述をちらほら見かけますね。
このマジックは、知人のマジシャンが自分の結婚式で演じられたので印象に残っています。