Phoenix Apocalypse Deckというデックをレビューいたします。
これは、ドイツの奇術用品メーカーであるカードシャーク社によってプロデュースされたトランプです。
Apocalypseとはマジック雑誌の名前にもありますが、この製品名はそれとは異なり、「黙示」という意味の単語です。ヨハネの黙示録などの黙示ですね。世界の終わり、終末を指す言葉です。
カードシャーク社のプレイングカードのブランドとして以前よりPhoenixというシリーズがあり、その中の”2012 End of Days Limited Edition”として作られたのが、このPhoenix Apocalypse Deckという位置づけのようです。
ご存知の通り(?)、マヤ暦の記録によれば今年2012年の12月21日頃に世界が滅ぶことになっているという説があり、このデックはその終末説をモチーフとしたデザインとなっています。
マヤ暦がモチーフなので、デックのバックやジョーカー、絵札のデザインにもマヤ文明の意匠が取り入れられており、なかなか面白いデックです。
Phoenix Apocalypse Deckのケース
Phoenix Apocalypse Deckのケースデザインは、裏面がデックのバックデザインと同様のもので、表面はスペードのAのような模様の上下に、Phoenix Apocalypse 2012 End of Daysという文字が配された意匠となっています。
Phoenix Apocalypse Deckのデックレビュー
バックのデザインは、全体がモスグリーンと焦げ茶系のトーンで、マヤ文明の遺跡を思わせる模様や神々の姿などが配されたデザインです。
白枠がありますので、マジックでの使用には適しています。
さらに、このデザインはマークトデックにもなっています。比較的分かりやすいマークではありますが、瞬時に読み取るには多少練習は必要なレベルかと思います。
悪くないデザインではありますが、やはりグラデーションの多用と、ほぼ白地が無く図柄のみで埋められたバックは、ちょっと絵画的すぎて、個人的にはカードのバックデザインとしてはあまり好きではないですね。
もうちょっと平面模様的に白地に少ない色数で表現された「模様」のほうが、カードらしい気がします。
フェイスのスートは、ひび割れたようなテクスチャが付けられていますが、過剰にならない程度の装飾でオシャレな感じ。
インデックスの文字も少し独特です。
絵札は、動物を擬人化したようなキャラクターの横顔が、切り絵のようなデザインとなって描かれています。
これはマヤ文明の神々でしょうか。
写真にあるのはクイーンのカードですが、他の絵札はまた異なるキャラクターとなっています。
エースは、スペードが一番大きいのは普通ですが、他のハート、クラブ、ダイヤもかなり大きなピップとなっています。
これはPhoenixブランドの特徴でしょうか。デザインとしてのバランスは普通のバイスクルなどよりこっちのほうがいいかも。
各スートの中には、やはりマヤ文明らしき模様が埋められています。
ジョーカーの図柄は、これはマヤ文明の至高神”ククルカン”の図像だそうです。
2枚のジョーカーはどちらがエキストラという違いは無いのですが、唯一、片方の一枚のみがクラブのAのカードを手に持っています。
言うまでも無く、手品の演出に使用することを想定したものです。実際、これを使うマジックも解説されています。
Phoenix Apocalypse Deckにはさらにエキストラカードとして、下記のような2枚のカードが入っています。
1枚には「The End」、もう一枚には「The End is Near…」の文字が書かれています。
Phoenix Apocalypse Deckの紙質はバイスクルライダーバックと同じような硬さに感じました。
カードシャーク社プロデュースですが、USプレイングカード社製なので、エッジ裁断もきれいでマジックに適した品質です。
カードのエンボス加工も、近年のライダーバックと同じく、布目のようなハッチング状のエンボスとなっています。
Phoenix Apocalypse Deckの付属品
Phoenix Apocalypse DeckはPhoenixブランドの限定品デックということですが、デック単体ではなく付属品付きの販売となっています。
このデックをテーマにした1シートタイプの2012年カレンダーで、もちろんのこと12月21日以降の日付はありません。
たぶんこれ、12月21日までで終わっているカレンダー作ったら面白いんじゃない?っていうアイデアだけで作られたような気もします。
それと、最初のほうで書いたようにバックデザインがマークトデックになっており、この読み取り方の説明が、カレンダーの裏面に書かれています。
さらにこのデックにはジョーカーがトランプ持っていたりなどの工夫が仕込んであるのですが、これを利用した簡単なカードマジックが、カレンダーの裏面に解説されています。
「The Cross of KuKulKan」、「The End (Mayan Prediction Clock)」、「Learning Magic the Easy Way」、「The QR Prediction」の4つです。
これらはほぼセルフワーキングのような簡単なマジックですが、カードのデザインや小道具とストーリーが合致していますので、2012年終末説やマヤ文明の話などをしながら演じれば、面白いものになるだろうと思います。
4つのマジックの中で、とくに目新しいと思えたのは、「The QR Prediction」です。
実は、カードケースの底面には、小さなQRコードが印刷されているのです。
QRコードの読み取り機能を持つスマートフォンでこれを読み取ると、あらかじめ用意されたサイトにつながり、あるカードの数字とスートが表示される仕組みとなっています。
これを予言などのトリックに利用することが出来る、というわけですね。
ウェブサイトを手品商品の現象自体に利用するというアイデアは、なかなか目新しいのではないでしょうか。
いつも同じカードが表示されるという単純なものではなく、Tamariz Stackを利用した、なかなか巧妙なものとなっているようです。
最後に
付属している4つのマジックは、面白いものではあるのですが、経験のあるマジシャンが積極的に演じるほどか?というとそうでもないとは思います。
またデック自体もマジックを演じるのに充分な高品質ではありますが、様々に意匠を凝らした豪華なデックが多数販売され続けている昨今の状況の中では、その他大勢の1個という印象は否めません。
しかしまあ2012年というタイムリーな話題性もあり、マヤ文明や予言の話しに持っていくきっかけには充分な魅力のあるアイテムだと思います。
しっかりしたマジックにというよりは、ちょっとした話のネタに使えるかなってところでしょうか。
上の写真で示したQRコードの左側に、「2012年12月21日までにお使いください」と書いてありますから、是非機会を見つけて使ってみたいですね。
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