マジック作品紹介

アセンション

「アセンション・トランスポジション」”Ascention Transposition” by Randy Wakeman 少し不条理なパケットトリック

ランディ・ウェイクマンによる、アセンショントランスポジションというマジックを紹介します。

 

巷の一部では、今年(2012年)の12月にアセンション(次元上昇)が起こり、地球がまるごと高次の世界に突入すると言われていますが、果たしてどうなんでしょうね。

 

さて、このカードマジック「アセンション・トランスポジション」については、次元上昇とは関係ないようです。

 

メンタリスト、マックス・メイビンのステージネームでも有名なマジシャン、フィル・ゴールドステイン”Phil Goldstein”の作品に「アセンション」というマジックがあり、ランディ・ウェイクマンがそれを改案したからこういう名前になったということみたいです。

 

アセンション・トランスポジションの演技

ではまず、私によるアセンション・トランスポジションの演技をご覧下さい。

 

 

まあ、カードマジックに慣れた目には、普通のパケットトリックに見えてしまいますね。

 

ですが、よく見ると現象に若干の不条理感があります。

8枚のカードを使った、似たような構成のマジックにポール・ハリスのリセットがありますが、このアセンション・トランスポジションはリセットのような交換現象ではありません。

4枚のクイーンを1枚ずつ、黒いスポットカードに埋もれさせて消すということで、論理的に考えればクイーン→黒カード→クイーンという2段構えの変化現象なのかも知れません。

 

ですが、ランディ・ウェイクマンならではのマニアックなたくらみがあります。

パケットを裏返して、トップの裏向きカードをそのままテーブルに置く、という説得力の薄い方法を採ることで、あえて観客に、「今置いたのは実はクイーンなのではないか?」と疑わせるように仕向けていますね。

エルムズレイカウントをよく知っているマジシャンならば、なおさらそう思うはずです。

それを引っ掛けて意外性のあるクライマックスを見せるという、ある意味マジシャン向けのトリックです。

 

決してマジシャン・フーラー(マジシャンを騙すトリック)というほど巧妙なトリックでもないと思いますが。

 

アセンション・トランスポジションと私

そうたいしたトリックではないと言いながら、なぜこれを今回紹介したかと言うと、私個人にとって非常に思い出深いトリックだからです。

 

このトリックは、私が初めて購入したレクチャービデオに収録されていた作品であり、またこれこそが、私が初めてエルムズレイ・カウントという技法を知ったトリックなのです。

「ランディ・ウェイクマンのカードマジック」という、そのままのタイトルのビデオで、1990年に来日したときのレクチャーを収録したものです。アイビデオから出ていました。

 

このビデオには、在りし日の高木重朗氏も出演されており、レクチャーの前提となる技法をいくつか紹介されていました。ランディ・ウェイクマンのレクチャー自体には、基本技法の解説はありませんでしたので。

その高木先生の解説により、エルムズレイ・カウントを覚えたのが、私のこの技法との出会いです。

それと同時に、マルローのオペック・カウントというバリエーションも覚えましたので、なんだかマニアックなスタートですね^^;

 

初めて知ったエルムズレイカウントという技法の説得力に感動しながら、何度もこの手順を練習していたのを思い出します。

 

今回ふとこの作品のことを思い出し、「ぐぐって」みたのですが、あまり大した情報は出てきませんでした。

備忘録も兼ねて、Youtube動画とサイト記事として残しておこうと思ったわけです。

 

このマジックを覚えるには

このマジックは、Magic Houseから出ている「ランディ・ウェイクマンのカードマジック」というレクチャーノートで覚えることができます。

映像では、上述のビデオをDVDにした、同名作品があります。

 

直接の原案である、フィル・ゴールドステインのアセンションについては、東京堂出版の「パケット・トリック」という本で覚えることが出来ます。

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コメント

  1. おはようございます。また「駄米」にて失礼致します。
    懐かしや、アイビデオ90-123「ランディ・ウェイクマンのカードマジック」(8000円也!!高っ!!)
    手品を遅く再開した私は、買ったのは多分1994年ごろでしょうか。
    今だったら誰も買わないであろう「高価格、収録場所の環境の悪さ(隣の歓声丸聞こえ)、良いとは言えない画質音質等々」しかし、優れたトリック、高木氏の分り易い解説を、食らいつくように何回も見ました。そして、ノン・ネット時代にどうして調べたものやら二川先生のところからノートも買ったりして(初めて買ったノートのはず)、下手ながら「私が壊れて行く(良い意味)きっかけ」を、作ってくれたVHSです。
    また例によって殆ど読まないマックス名人氏の本を、開いたところ「朱に交われば」のところに「ゆうきともトランプの友~知の五~」(フォーサイト社)に「アセンション・エーセス」として所収とのメモを見つけました。そこで先程ゆうき氏バージョンを、懐かしく見直しました(ランディ氏VHSは、埃だらけなので後で・・・汗)。これを機会にマックス氏の解説、懐かしのVHSを、見直してみようかと。今回もミニ・タイムマシーンに乗せて頂き感謝です。

      • Shanla Type2
      • 2013年 1月 24日 11:55pm

      >菊池さん
      こんばんは。
      アイビデオさんのレクチャービデオは、確かに今では考えられないほどの高価格なうえに、商品化するつもりで撮ったとは思えないような適当な環境のものも多かったですね。
      ランディ・ウェイクマンのビデオは、一応ちゃんとしたレクチャー会場での映像だったと思いますが。

      そういえば高木氏による演技・解説を初めて見たのも、このウェイクマンのビデオででした。
      まさに、わたしがマジックに没入してゆくきっかけを作ってくれたビデオだったと思います。

      メイビンのその作品も、ランディのアセンションのバリエーションなのでしょうか。
      それは私も興味あります。貴重な情報をありがとうございました。

      まあ、このサイトの趣旨自体が、少なくとも現状では私の20数年のマジック歴の間に見聞きして気に入った作品等を網羅してゆこう、というものですから、やっぱりタイムマシーンになってしまいますね^^;
      今後とも色々とご指導賜りたく存じます。

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