マジシャンが最も普遍的に愛用するトランプと言えばどのブランドでしょうか。やっぱり第一に来るのは、USプレイングカード社のバイスクル・ライダーバックでしょう。
もちろん昔からタリホーやBeeといった有力なブランドはありますし、また近年ではバイスクル自体もおびただしい種類が売り出されています。
しかし今なお、最も普通に手に入りやすく、色々な面で使いやすいトランプといえば、バイスクル・ライダーバックが筆頭に挙がります。
当サイトを開始して間もない頃に、マジックに使うカードについてという記事を書いています。この中でバイスクルの簡単な特徴や、これが選ばれる理由などについて触れました。
しかし前回の記事では、まず「マジックに使うカードとは?」という全般的な話が主題で、バイスクルについては軽く触れただけでした。
今回は、あらためて写真も併用し、バイスクル・ライダーバックというカード自体のレビューを行っておきたいと思います。
ご存知の方にとってはいまさら、という話もあるかも知れませんが、当サイトは後学の方々のための参考となる意図とともに、自分のための覚書、知識の整理という目的も多分にありますので。
知識というものは、他人に説明する形で文章にすることによって、自分の中での理解も深まると言いますからね。どちらかというと、これが当サイトの第一目的とも言えます。
なお、バイスクル・ライダーバックと一言で言っても2種類あります。
元々バイスクルは50年以上も同じデザインが踏襲されてきたのですが、近年デザインの刷新が行われました。
基本的に中身はほとんど同じなのですが、外箱デザインはかなり大幅に変更されています。
今回の記事では、この新旧両方を取り上げてみたいと思います。
また、バイスクル・ライダーバックにはポーカーサイズとブリッジサイズがありますが、ここではブリッジサイズは取り上げないものとします。
新タイプ バイスクル・ライダーバック
現在普通に入手できるのはこちらの方ですから、まずは新タイプをレビューしましょう。
カードケース
表面は中央にスペードのAのマーク、そして上部には「BICYCLE」のロゴ、下部には「PLAYING CARDS」、「STANDARD」の文字があります。
中央のスペードのAは、青デックでは赤、赤デックでは青と、中身の裏色とは逆の配色となっています。
その他は、赤または青を基調に、ゴールドの縁取りがデザインされていますね。
裏面には、小さめのバイスクルロゴの下に、品質に関する宣言文が書かれており、テーブルの上に裏表重ねて置いたような配置の、カードの絵がプリントされています。
その他、ケースの上面、底面、側面。
ご覧になられれば分かりますが、どこにも「Rider Back」とは書いてないです。
ケースの蓋のベロは古いタイプに比べれば短く、最も長い部分で2cm程度です。
中身のデック
バック面、中央には上下2つの円を、自転車の車輪でリンクさせたようなデザインが配されています。
その上下には、自転車に乗った天使を正面から描いた絵が、上下対称に書かれています。
周囲は簡略化されたアラベスク模様のようなデザイン。
それから4隅には波間に姿を見せる天使?のようなキャラクターがそれぞれ書かれています。
このデザイン、マジシャンには非常に見慣れたものなので、野暮ったく見られがちな面もなきにしもあらずですが、無垢な目で見ると、結構良いデザインだと思います。
抽象的過ぎず、さりとて絵画的過ぎもしない。シンプル過ぎることもなく、複雑過ぎるわけでもない。結構バランスが取れていて好きです。
まあ個人的にはもう少し絵画的なほうが好みではありますけどね。1枚の裏面に天使が6体も居るというのは意外です。
フェイス面のデザインは、US Playing Card社のほとんどのカードと共通のものです。
スペードのAとかジョーカーなどの特別カード以外は、タリホーやBeeなども、基本的にバイスクルと共通のフェイスデザインです。
ジョーカーとスペードのA。
スペードのAは、ケースの表面のものと同じ形状です。真ん中に居るのは自由の女神かな?
ジョーカーは2枚、絵柄のみのものと、保証書兼用の、通称ギャランティージョーカーがあります。
絵柄のみのジョーカーのほうは色付きとなっており、これは旧来のライダーバックとの変更点です。
表面は布目状のエンボス加工あり。
使い心地は、それなりに高品質で安定しています。
ただやはり、昔のデックと比べると全体的に薄く耐久性に欠ける印象はあります。
同じUS Playing Card社の製品と比べるならば、Beeよりは間違いなくやわらかいです。
タリホーと比べると微妙ですが、個人的な感覚ではバイスクルのほうが柔らかいような気がしています。
ただこれも、どのデックにしても製造年代、ロットなどによって品質はかなり異なりますので、一概には言えません。
旧タイプ バイスクル・ライダーバック
ずっと昔からバイスクル・ライダーバックとしてマジシャンに親しまれてきたのは、こちらの方です。
数年前に上記の新タイプに変更されました。
同じく近年に、US Playing Card社の工場がオハイオ州Chincinnatiからケンタッキー州Erlangerに引越ししたそうです。
後者のケンタッキー製つまりKY製は品質が落ちるということがよく言われます。
この件については、デザインの変更とはまた別の話です。
カードケース
新タイプと同じく、中央には中身のデックと反対の色のスペードのA、上部には「Bicycle」のロゴが書かれています。
下部にはRider Backの文字があり、これは新タイプとは異なる点です。
また、青の色合いが、新タイプに比べるとずいぶんと濃いですね。新タイプの青は水色に近い感じでした。
ケース裏面は新タイプとは全く異なります。
中身のデックのバックデザインを、そのまま全面に配したデザインですね。
上面、底面、側面。
基本的には新タイプとほぼ同じような感じです。
この写真では蓋のベロが長くなっていますが、これは20年ほど前のタイプのものです。
旧タイプの箱でも、比較的新しい時期のものは、新タイプと同様にベロが短くなっています。
中身のデック
デザインは基本的には新タイプと同じです。
デザインとして明らかに異なるのは、ジョーカーの色です。
新タイプはすでにご覧いただいたようにカラフルな色付きとなっていますが、旧タイプはモノクロです。
私の周囲では、概して新タイプの色付きのほうが評判が悪いようです。
新旧の大きな相違点
すでに両者を見ていただいたので、違いにはお気づきかと思いますが、最大の相違点は何と言ってもカードケースの裏面です。
旧タイプではデック自体のバックデザインと同様であったものが、新タイプでは写真のような絵になっているのです。
ちなみにちょっと見たところ、バイスクル・ガーディアンも同じようなデザインなのですね。
ケースのこの面を、カードのバックデザインと同様にする、というのは他の多くのカードでも共通の手法です。
例えばタリホーでもそうですし、バイスクルでもライダーバック以外のリーグバックやファンバック等も同じです。
カードマジックでは、カードケースのこの特徴を生かした作品が、それなりに数多くありますので、新タイプの箱はそのようなマジックには不都合となります。
デザイン的な面もさることながら、マジシャンが新タイプのバイスクルスタンダードをあまり支持しないのは、大きくはこの理由によるものと思います。
まあ、そういうマジックを演じたければ、タリホーなど他のカードを使えば良いというだけかも知れませんけどね。
バイスクル・ライダーバックを購入できる場所
マジックに使う目的に限らず、バイスクル・ライダーバックは外国製トランプとしては最もポピュラーなものです。とくにマジックやギャンブルと関係のないドラマなどにもよく使われているぐらいです。
したがって、とくに本格的な専門店に足を運ばなくとも、ある程度トランプをきちんと揃えているようなお店であれば、大抵は売っています。
私が今まで見たことのあるお店を順不同で挙げてみますと
高島屋、大丸、阪急、東急、阪神、京王、伊勢丹、等々の百貨店
東急ハンズ、LOFTなどの雑貨・DIY系量販店
ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラ等の大型電機量販店
ビレッジバンガード、キディランド、ドンキホーテ等の雑貨店
その他コストコ、トイザラス、各種マジックショップ、玩具店、ゲーム用品店などなど
こんな感じですね。まあおもちゃやゲーム用品が多少充実している店なら大抵あるでしょう。
ネットでも買えるところはたくさんあります。
主なところでは楽天市場、アマゾンがありますね。もちろんマジックショップでも扱っていない店は無いでしょう。
値段は、1個で買うならおよそ500~600円ぐらいの価格が多いです。
1ダースで買えばそれなりに安くなります。
普通の日本人の感覚では、トランプをダース買いするということは常識では想像しにくいかも知れません。
しかしマジシャンにとってトランプは消耗品なので、とくにバイスクル・ライダーバックのような基本的なデックについてはダース買いすることは何ら珍しいことではありません。
リーズナブルな値段で購入する方法として、個人的におすすめなのはヤフオクです。
出品者にもよりますが、1ダース12個を2000円前後で売っていることが多いです。
海外のサイトでも1ダース24ドル前後で売っていることが多いので、数ダース程度で海外から直接買うよりは、ヤフオクのほうが安上がりですね。
この出品者の方々は何グロスもまとめて仕入れてボリュームディスカウントを得ているのか、ちょっと前の円高の恩恵なのか、その両方なのか。
まあこのあたりは勘ぐっても詮無きことですね^^;
バイスクルのデザインが変わるという流れに平行して
フェニックスデックやマンドリンデックなる品が出てきましたけど
こちらは波及してるんですかね?
「ケンタッキー製つまりKY製は品質が落ちる」には笑いました。(^^)
何でも以前に聞いた話によると、ライダーバックのギャフカード類が今後生産縮小される傾向で、その埋め合わせというか代替のような形で出てきたのがマンドリンバックだ、ということでした。
つまりマンドリンバックは、これからのマジシャンのデファクトスタンダードとなるべく企画されたデック、ということになりますが。
でも、周囲を見る限りでは、あまり浸透しているとは言えないですね。
フェニックスデックもたまーにしか見ないです。
KY製が多少落ちるというのは、最近は半ば常識みたいにされているように思うのですが、どうなんでしょうか。
とくにカードにこだわる、若い世代の方がそのような気がします。
実を言うと生産縮小に危機感を感じ、フェニックスデックを買い集めました。
でも実際には今だバイスクルも廃れてないし、余計な買い物だったかなぁと。
(また5~6年したら状況が変わっているかもしれませんが)
カードの質が落ちたといっても、昔キャラバンやアビエーターを使っていた世代としては全く気になりませんけどね。(^-^;
フェニックスデックは、私は1個も持ってないですね^^;
あれ、スペード以外のエースのマークも、全部でかいデックでしたかね・・?
質に関しては、KY製の質が落ちたとは言われるものの、基本的にバイスクルは高品質に変わりないことには同意です。
昔のキャラバンとか、ペラッペラでしたよね。
よければ1デックあげましょうか? 赤青バック好きな方を。
どこかのオフ会に会った時にでも・・
エースは確かにでかいですね、写真で見るとこんな感じです。
https://twitter.com/minezaki_magic/status/330291261858799617/photo/1/large
えっ、そんなご好意、ありがたいけどいいんですか^^
エースがでかいというのは、動画で映えるかも知れませんね。
単に頂戴するというのも恐縮ですから、何かこちらも持って行きましょうか。
タリホーファンバックとかバイスクルリーグバック・・・ではありふれ過ぎているかな^^;